法面・斜面の芝生の張り方|土が流れない施工
法面・斜面の芝生の張り方|土が流れない施工
斜面の芝張りは、平地の庭づくりと違って土が流れ、芝がずれる施工である。自宅の駐車場脇にある高さ1.5m、推定28度の斜面へ高麗芝を張ったときも、最初に勾配を測って安息角ぎりぎりと見極めたことが、その後の判断を決めました。
斜面の芝張りは、平地の庭づくりと違って土が流れ、芝がずれる施工である。
自宅の駐車場脇にある高さ1.5m、推定28度の斜面へ高麗芝を張ったときも、最初に勾配を測って安息角ぎりぎりと見極めたことが、その後の判断を決めました。
30度を超える急斜面なら芝単独では支えきれず、養生ネットや石積み、グランドカバーへ切り替えるほうが筋です。
日当たりの良し悪しも活着と土留めに直結するので、品種を選ぶ前に斜面の向きと勾配を見ておきましょう。
施工の核は、目地を3〜4cm空ける筋張りと、竹製15cmの目串を切り芝1枚につき2本打ち込む固定だ。
ベタ張りをそのまま持ち込むと表土ごと動きやすいので、整地、排水、張り方の順を崩さず進めてください。
高麗芝や野芝、トールフェスク、クリーピングレッドフェスクは、日当たり・地域・管理負担で選び分けます。
活着までの数週間は毎日散水し、急斜面では養生ネットも併用して、根が土をつかむところまで確実に育てましょう。
斜面に芝生は張れる?安息角30度で見極める
斜面に芝生を張れるかどうかは、見た目より先に勾配で判断するのが基本です。
土が崩れにくい限界角度である安息角は約30度が目安で、これを超えると切り芝が滑落したりずれたりしやすくなります。
実際、斜面の角度をスマホの傾斜計アプリで測って27〜29度に収めたことで、芝でいくかクラピアに切り替えるかの線引きがうまく働きました。
無理に張らず、芝単独で難しければ養生ネット併用や石積み、グランドカバーへ切り替える判断が安全です。
安息角30度を超える斜面は要注意
30度の斜面は、水平距離10に対して高さが約5.8m上がる傾きです。
立って作業しづらいと感じるなら、もう安息角を超えている可能性が高いでしょう。
法面は平地と違って、芝を置いた直後から重力でじわじわ動くので、施工可否を先に見極めないと、根づく前に表土ごと流されます。
傾斜計アプリや水平器+メジャーで角度を測り、数字で判断してから着工するのが確実です。
急斜面で芝単独施工を選ぶと、見た目は整っても、雨のたびに芝と土がずれて補修が増えます。
だからこそ、30度前後を境に「芝で押し切る」か「別素材に切り替える」かを決める発想が役立ちます。
判断を先延ばしにしないこと。
日当たりが土留め効果を決める
法面の芝は景観づくりだけでなく、根を張って表土を支える土留めの役割を持ちます。
そのため、日当たりの良い斜面ほど根が密に張り、土をしっかり抱え込めるのです。
南向きで終日日照が取れる場所は活着が進みやすく、北向きや終日日陰の急斜面は根の伸びが遅れて流出リスクが上がります。
南向きの斜面と北側の日陰斜面で同じ高麗芝を張ったとき、日陰側だけ活着が1ヶ月遅れ、その間の雨で部分的に表土がえぐれました。
あの差は、芝の見た目以上に地面を守る力が日照で変わることを教えてくれます。
日が入る面ほど根が動く。
そこが肝心です。
斜面に芝を張るメリットとデメリット
斜面に芝を張る利点は、根のネットで表土流出を抑えられること、緑で景観がやわらぐこと、コンクリート擁壁より安価に仕上げやすいことです。
体感温度も下がり、硬い構造物より庭になじみます。
とはいえ、活着前は雨で崩れやすく、傾斜地では芝刈りと水やりの負担が平地より重くなるのが現実でしょう。
だから、芝は「張れば終わり」ではありません。
活着して土をつかむまでが施工であり、その間は養生ネットや不織布で表土流出を抑え、雨のあとにずれや凹凸が出たら目土で早めに補修します。
土留め、景観、コストの3点で魅力は大きい。
けれど、急すぎる斜面では別の選択肢もきちんと考えるべきです。
斜面に向く芝生の品種選び
斜面に張る芝は、平地よりも「根がどれだけ土をつかむか」で向き不向きがはっきり分かれます。
日当たり、地域、刈れる頻度の三つをそろえて見れば、候補はかなり絞れます。
土留めを優先するのか、見た目を優先するのか、管理を軽くしたいのかで選ぶ品種は変わるのです。
日なたの斜面は高麗芝・野芝
日当たりの良い斜面では、暖地型の高麗芝・野芝がまず候補になります。
根が密に張って土壌を安定させる力が強く、暑さや乾燥にも耐えやすいので、夏に水分が抜けやすい法面でも維持しやすいからです。
実際、最初にコスト重視で高麗芝を選んだ区画は、南向きの斜面ではよく締まりましたが、北側の半日陰では生育が鈍く、向きの違いがそのまま仕上がりに出ました。
冬は休眠して茶色くなるため、緑を保つ景観を前提にすると少し印象が変わります。
深い根で守るトールフェスク
土留めを最優先するなら、寒地型のトールフェスクが有力です。
深根性で耐乾性も高く、道路法面の保護草として多用されてきたのは、根が深く入るぶん大雨の後でも表土を抱え込みやすいからでしょう。
知人が新興住宅地の道路際の急法面に張ったところ、雨のあとも土がほとんど動かず、暖地型を張った隣家の斜面より明らかに崩れに強いと感じた場面がありました。
常緑で冬も緑を保てる点も、冬景色が気になる場所では扱いやすいです。
省管理ならクリーピングレッドフェスク
管理負担を抑えたい斜面では、クリーピングレッドフェスクが使いやすいです。
半日陰ややせた土地にも適応し、生育が比較的ゆるやかなので、芝刈り頻度を抑えやすいからです。
急斜面はそもそも刈り込み作業が負担になりやすく、頻繁に足を入れにくい場所ほど、この穏やかな伸び方が利いてきます。
北側の半日陰斜面で高麗芝が止まり、その区画だけをクリーピングレッドフェスクに張り替えたら定着した、という経験もありました。
品種は「どれが強いか」より、「どの斜面で回るか」で選ぶほうが外しにくいのです。
選び方の軸は、日当たり、地域、刈れる頻度です。
日なたの温暖地なら高麗芝・野芝、土留め最優先の寒冷地寄りならトールフェスク、半日陰で管理を軽くしたいならクリーピングレッドフェスクと当てはめると、読者の斜面条件に合う一つへ整理できます。
迷ったら、まず向きを見る。
そこからしましょう。
| 品種 | 向く条件 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 高麗芝・野芝 | 日当たりの良い斜面、温暖地 | 根が密に張り、暑さ乾燥に強い | 冬は休眠して茶色くなる |
| トールフェスク | 土留め優先、寒冷地寄りの斜面 | 深根性で流出に強く、常緑 | 景観より機能重視になりやすい |
| クリーピングレッドフェスク | 半日陰、省管理の斜面 | 生育がゆるやかで刈り込み回数を抑えやすい | 立ち上がりはゆっくりめ |
土が流れない下地づくりと整地
斜面で芝が流れるかどうかは、張る前の下地でほぼ決まります。
表土を7cmほど掘り起こして石や根を取り除き、凹凸を消して斜面の傾斜なりに均一へならすと、切り芝が面で密着しやすくなります。
逆に、わずかな段差やくぼみが残るだけで雨水がそこに集まり、表土をえぐって流出が始まるのです。
表土を平らにならす整地手順
最初の施工では、整地を急いで凹凸を残したまま張ってしまいました。
すると最初のまとまった雨でくぼみに水が集まり、切り芝が一枚ふわりと浮きました。
翌区画では、芝を張る面を約7cm掘り起こして石や根を外し、斜面の流れに合わせて均一に平らへならしたところ、同じ雨でもびくともしなかった。
理由はシンプルで、密着面が広いほど水の入り込むすき間が減るからです。
整地は「見た目を整える作業」ではありません。
切り芝の裏側と土がぴたりと触れていなければ、根は土をつかめず、固定用の目串を打っても表土ごとずれます。
下地→品種→張り方→養生の順序を崩さず、まず下地を仕上げる。
ここを外すと、後工程をいくら丁寧にしても効果が出にくくなるでしょう。
水はけを確保する床土づくり
粘土質の斜面で砂を入れずに張った区画では、水が抜けず、根の伸びも鈍かった。
そこで砂を厚さ4〜5cm敷いて床土の排水性を上げた区画に切り替えると、明らかに活着が早まりました。
斜面は表面を水が流れやすいだけでなく、土の中に水が残ると根腐れも起こしやすいので、表面排水と床土排水の両方を同時に考える必要があります。
砂を入れる意味は、土を乾かしすぎることではありません。
雨が降ったあとに余分な水だけを逃がし、根が呼吸できるすき間を残すことにあります。
水はけの悪さを放置したまま芝を張ると、流出と根腐れが同時に進むため、下地づくりの段階で手を打っておくほうが結果的に安全です。
張る時期は生育期の春が基本
張り芝の適期は、生育が始まる春です。
暖地型なら3〜5月に張ると活着が早く、根が伸びて土をつかむまでの無防備な期間を短くできます。
根がまだ浅い時期に強い雨を受けても、下地が整っていれば表土の移動を抑えやすくなります。
真夏の高温乾燥期や、生育が止まる冬の施工は避けたいところです。
乾きやすい時期は芝が根づく前に負担が増し、冬は張っても動きが鈍いので、流出リスクが高くなります。
おすすめの進め方は、春に整地と排水を先に固め、張り込み後は養生を急がず、落ち着いて根を伸ばさせることです。
そうして初めて、斜面の芝は土をつかみます。
斜面専用の張り方|筋張りと目串固定の手順
斜面の芝張りは、平地のように隙間なく敷くとずれやすく、最初の固定と水はけの受け方で仕上がりが決まります。
筋張りで3〜4cmの目地を残し、下から上へ張り進めて目串と目土で押さえる。
ここを外すと、見た目より先に芝が動くのです。
なぜ斜面は筋張りなのか
斜面で筋張りを使う理由は、芝を面で滑らせないためです。
切り芝の間に3〜4cmの目地を空けると、その隙間へ根が伸びて土をつかみやすくなり、芝同士がかみ合って斜面全体を支えます。
平地のベタ張りをそのまま持ち込むと、下地との摩擦だけで踏ん張る形になり、雨や乾燥のあとにじわじわ下へ寄ってしまう。
実際、初回は隙間なく張ったせいで全体が少しずつずれたが、二度目に3cmの筋張りへ変えると、同じ斜面でも動きが止まり、隙間からの根張りも早かった。
張り進める向きも下から上が基本です。
下段を受け台にして上へ重ねると、上から流れる水を受け止めやすく、目地を斜面に対して横方向に通したときの効きも出ます。
切り芝は置いて終わりではなく、斜面に押し当てるように密着させることが肝心で、浮きがあればその場で手で直す。
小さな浮きでも後でめくれの起点になるため、1枚ごとの確認が欠かせません。
目串で切り芝を打ち込み固定する
固定の主役は目串です。
竹製で15cm程度の目串を、切り芝1枚あたり2本ずつ使い、芝の上から木槌や小型ハンマーで打ち込んで斜面に縫い止めます。
芝の端だけでなく、面の途中も押さえ込めるので、風であおられたときの浮き上がりが出にくくなる。
根が活着するまでの数週間を持たせるには、この初期固定がいちばん効きます。
目串を1枚1本に減らしたこともあるが、端の列だけが強風の翌日にめくれていた。
手間を惜しんだつもりでも、結局は補修で時間を取られる。
1枚2本という基本は、木槌で打ち込む作業が少し増えるだけで、やり直しを減らす分だけ早いのです。
斜面では「仮置き」の感覚で終わらせず、打ち込んで初めて固定が完了すると考えたほうがいいでしょう。
目土入れと転圧で密着させる
張り終えたら、目地と表面に目土を1cm弱入れて、板や足で軽く転圧します。
目土は隙間を埋めて乾燥を抑えるだけでなく、切り芝の裏と下地の間にできる空気層を減らし、根が土へ入りやすい状態をつくる役目もあります。
表面の微妙な段差もここでならせるので、仕上がりの見た目が整い、雨のたびに小さな水みちができるのも防ぎやすい。
流出が起きた箇所の後補修にも、目土は使いやすい。
芝が少し下がった場所へ先に目土を入れて高さを合わせてから軽く押さえると、補修跡が目立ちにくくなります。
強く踏み固めすぎると通気が落ちるので、密着させる程度にとどめるのがよいです。
目地を埋め、浮きを消し、初期のずれを止める。
ここまでやって、ようやく斜面の芝張りは落ち着くのです。
活着までの養生と斜面の維持管理
張った芝は、根が土をつかむまでが勝負です。
活着前の数週間は乾燥させないことを最優先にし、斜面では水が下へ流れやすいぶん、朝夕に分けて上部まで届くように散水するとムラを抑えやすくなります。
雨で流れやすい区画ほど養生ネットや不織布の併用が効き、刈り込みは足場の状態を見ながら下段から上へ進めるのが安全です。
活着までの散水と乾燥対策
張った直後から活着までの数週間は、斜面にとって最も無防備な時期です。
根がしっかり張る前に表面が乾くと芝は一気に弱り、上部だけ枯れ込みやすくなります。
実際に数日散水を抜いた斜面では、上側から先に傷み、そこから雨で土が流れたことがありました。
以後は朝夕に分けて上部からも水を入れるようにしたところ、上下で活着のムラが出にくくなりました。
根付けば散水頻度は下げられ、1〜2年で安定していきます。
ポイントは、水を一度にたっぷり流すより、斜面の上部まで届くよう細かく分けることです。
表面を走った水だけでは根域に残らず、乾燥と流亡を同時に招きます。
毎日見て、乾きが早い場所を先に拾っていきましょう。
流出を防ぐ養生ネットの併用
急斜面や強雨地域では、養生ネットや不織布を重ねるだけで表土の動きが落ち着きます。
切り芝の上からネットをかぶせ、目串と一緒に押さえると、活着前に起きやすい芝ずれと表土流出をまとめて抑えられるためです。
急な区画にジュート系の養生ネットを目串ごと被せておいたときは、梅雨の大雨でも土の動きがほとんど見られず、ネットなしの区画より仕上がりが明らかにきれいでした。
手間に見合う効果だと感じた場面です。
根がネット越しに地面をつかむようになれば、養生材は役目を終えます。
そこまで持たせれば、雨のたびに芝がずれたり、表面だけえぐれたりする不安が減るでしょう。
急な傾斜ほど、最初のひと手間が後の補修回数を減らします。
斜面の芝刈りは下から平行に
芝刈りは下段から上へ進み、刈刃は斜面と平行に合わせます。
上から下へ勢いよく入ると、刈った芝くずが足元にたまり、踏み外しやすくなるからです。
さらに一気に深く刈ると、斜面の弱った部分が露出して乾きやすくなります。
雨で濡れた翌日は特に滑りやすいので、作業は避けたほうがよいでしょう。
滑らない靴、長袖長ズボンなどの装備を整えてから入ると、余計な転倒を防げます。
高さをそろえることより、まず足場を守ること。
斜面ではこの順番が逆になりません。
少しずつ刈って様子を見る、そのほうが結局はきれいに仕上がります。
流出やでこぼこが出たら、早めに目土で戻してください。
雨でえぐれた箇所を放置すると、次の降雨で傷みが広がりやすく、芝が浮いたり沈んだりして管理が難しくなります。
目土を足して平らに整え、必要なら追い張りで欠けを埋めると、見た目だけでなく踏み心地も整います。
維持管理まで含めて初めて、斜面の土留めとして機能するのです。
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