トラブル解決

芝生が薄くなる原因と密度を上げる対策

更新: 芝ぐらし編集部
トラブル解決

芝生が薄くなる原因と密度を上げる対策

高麗芝は、張って3年目になると建物際だけスカスカになりやすく、最初は肥料切れだと思って撒いても戻らないことがあります。日照と刈り方が噛み合っていないと、地面の透け方はそのまま残るからです。

高麗芝は、張って3年目になると建物際だけスカスカになりやすく、最初は肥料切れだと思って撒いても戻らないことがあります。
日照と刈り方が噛み合っていないと、地面の透け方はそのまま残るからです。
芝生が薄くなる原因は、日照不足、窒素切れ、軸刈り、踏圧による土壌硬化、サッチ蓄積、夏バテや病害虫の悪循環の6系統に分けて見ると整理しやすくなります。
症状の出方を手がかりに逆引きすれば、張り替える前に何を直すべきかが見えてきます。
芝刈りで密度が上がるのは、上への伸長を抑えられた芝草が横へ広がり、ランナーと分げつで芽数を増やすからです。
生育期は週1〜2回、1回あたり全体の1/3までに抑えて刈ると、この動きが回りやすくなります。
実際に管理していると、建物際だけが薄い高麗芝は追肥より先に日照と刈り方を見直すべきだと分かります。
軽症なら刈り高と頻度、窒素1〜2g/㎡の追肥、春か秋のエアレーションと目土で立て直し、広く露出して雑草に負けた場所だけ春に部分張り替えへ進めばよいでしょう】【。

芝生が薄くスカスカになる6つの原因

芝生が薄くなる原因は、日照不足、肥料切れ、軸刈り、踏圧による土壌硬化、サッチの蓄積、夏バテや病害虫・雑草の悪循環の6系統に分けて見ると整理しやすいです。
しかも現場では、ひとつだけでなく複数が重なっていることのほうが多い。
建物の北側だけ薄い、家族がよく通る動線だけ抜ける、といった偏りが出るなら、場所ごとに原因が違うと考えるほうが早いでしょう。

薄さの原因は1つではなく重なる

実際に庭全体を見回したとき、薄いのは芝全面ではなく建物の北側と通路になっている部分に偏っていました。
そこで薄い=肥料不足だと決めつけて多めに撒いたことがありますが、日陰はほとんど変わらず、動線の箇所だけ少し戻っただけでした。
あのとき痛感したのは、芝生の薄さは1本の原因で説明しきれない、ということです。

日照・肥料・刈り方の3大原因

高麗芝は生育期の4〜10月でも、1日5時間以上の日照が目安になります。
3〜4時間でも育ちはしますが密度は落ちやすく、樹木の陰や壁際では茎葉が間延びして地面が見えやすくなるのです。
肥料、とくに窒素が切れると面積あたりの茎葉数が減って透けやすくなりますし、軸刈りをすると生長点より下で切ってしまうため新芽が出にくく、一気に薄くなります。
芝を密にしたいなら、まず「光」「肥料」「刈り高さ」を切り分けて見てみてください。

踏圧・サッチ・夏バテという土台側の原因

土台側も見落とせません。
踏圧で土が締まると根が育ちにくくなり、張って2〜3年たつとサッチ層が溜まって成長を邪魔します。
さらに夏バテが重なると、病気や雑草が空いたすき間に入り込み、密度低下に拍車がかかる。
だから症状から逆引きするのが近道で、動線が固ければ踏圧、根元に厚い層があればサッチ、全体が黄緑で伸び鈍いなら肥料切れ、刈った直後に茶色なら軸刈り、と見ていくと原因の輪郭がはっきりしてきます。

密度が上がる仕組み|芝刈りでランナーを横に走らせる

芝刈りで上への伸長を抑えると、芝草は横へ伸びる方向に力を回し、ランナーが地表を走りやすくなります。
密度が上がるのは、ただ切った分が増えるのではなく、地表を這う匍匐茎の先端から根と芽が出て、分げつで1本の芝が複数の芽へ分かれていくからです。
伸ばしっぱなしでは薄いままでも、刈り方を整えるだけで景色は変わります。

上を止めると横へ広がる生理

芝草は、上へ伸びる余地を断たれると、横へ広がる生存戦略を強めます。
刈られてもすぐに再び上へ戻るのではなく、地面に沿って走るランナーにエネルギーを振り向け、先端で新しい根と芽を確保する動きが前に出るのです。
密度回復の核心はここにあります。
草丈を抑えること自体が、株を弱らせるためではなく、面として広がらせる刺激になるわけです。

分げつとランナーで芽が増える

芝生が「密になる」とは、1本が1本のまま残ることではありません。
ランナーが地表を這い、その先で着地して根を張り、さらに分げつで芽数が増える。
これが繰り返されると、目に見える隙間が少しずつ埋まっていきます。
刈り高を欲張って短くしていた頃は薄いままだったのに、刈り高を上げて週2回に頻度を増やしただけで、地面が透けていた場所がひと月で横から芽で埋まっていった。
あの変化は、まさにこの仕組みが目の前で働いた結果でした。

ℹ️ Note

放置して伸びすぎた芝を一気に短くすると、横へ広げるどころか茶色い筋が出て後退します。2週間放置したあとにまとめて刈ったとき、軸刈りで新芽を削ってしまい、回復に余計な時間がかかりました。

刈り高と頻度の決め方(1/3ルール)

密度を上げる最短ルートは、芝刈りの回数を増やすことです。
生育期の5〜10月は週1〜2回が目安で、回数を重ねるほど横への分げつが進みやすくなります。
ただし刈り高は欲張らないこと。
1回で全体の高さの1/3までに留めて2/3を残せば、生長点より下を切り込む軸刈りを避けられます。
逆に深く刈りすぎると、葉を減らして回復の土台まで削ることになり、茶色く見えるだけでなく密度回復も鈍ります。
横へ広げる効果と株を守る効果、その両方を両立させるのが1/3ルールです。

原因別の見分け方|日照・肥料・刈り方を切り分ける

芝生や庭木の色が冴えないときは、まず「どこで薄いか」と「刈った直後にどう変わったか」を切り分けると、原因が見えやすくなります。
場所に偏りがあるのか、庭全体の話なのかで判断はまったく変わるからです。
そこを外さないだけで、手を打つ順番が自然に決まります。

場所で偏る薄さは日照を疑う

樹木の陰、建物の北側、塀際だけ密度が落ちて草丈まで間延びするなら、まず日照不足を疑うのが筋です。
生育期に1日5時間以上の日照が取れているかを見れば、光量の不足が原因かどうかをかなり絞れます。
実際に薄い場所を庭の見取り図へ塗ってみると、北側の日陰ラインにきれいに沿っていて、肥料の問題ではなく光の当たり方そのものが主因だと一目で分かりました。
場所で偏る薄さは、土より先に光の影響を疑うべきサインです。

全体が黄緑・伸び鈍いは肥料切れ

庭全体が一様に黄緑っぽく色が薄く、伸びも鈍いなら、窒素不足の見立てが合いやすいです。
最後に肥料を撒いた時期を思い出し、そこから長く空いているなら、追肥で色と密度の回復を狙えます。
色が全体的にくすんできたタイミングで施肥したところ、2週間で緑が戻り、密度も少し増しました。
こうした変化がそろうなら、葉の勢いを支える養分が足りていなかったと考えるのが自然でしょう。

刈った直後に茶色は軸刈り

刈った直後に広い範囲が茶色くなり、緑の葉がほとんど残らないなら、軸刈りの典型症状です。
刈り高を下げすぎていないか、伸ばしすぎた芝を一気に刈っていないかを振り返る必要があります。
葉を落としすぎると、見た目が荒れるだけでなく、回復に使う光合成面積まで減ってしまうからです。
刈り込みの失敗は肥料不足や日照不足より目立つので、まずここを見れば判断が速くなります。

これらは併発しやすいので、最初は「場所で偏るか・全体か」「刈った直後の状態」の2軸で当たりをつけるのが効率的です。
日照不足、窒素不足、軸刈りのどれを先に直すかで、次に見るべき土台の章も変わります。
順番を間違えないこと。

土台側の原因を見る|踏圧・土壌硬化・サッチ

芝を張って2〜3年たつと、見た目はまだ保っていても土台の劣化が先に進み、排水性の低下や水たまり、表面の凹凸、コケの発生として表に出てきます。
とくに人や物がよく通る筋だけ薄くなるなら、地表ではなく踏圧で土が締まっている可能性が高いでしょう。
土が固くなると通気性と透水性が落ち、根が伸びにくくなるため、地上の密度まで落ちていくのです。

踏圧で土が固く締まる

子どもがいつも走る一本道だけ年々薄くなり、踏むとカチカチに固まっていて、移植ごてが刺さらないほど締まっていた場面がある。
こうした筋状の傷みは、踏圧が一点に集まり続けた合図です。
土のすき間がつぶれると空気も水も通りにくくなり、根が下へ伸びる余地がなくなるため、上の葉も細りやすくなります。
見た目の問題に見えて、実際は地下で呼吸不全が起きている状態だ。

サッチ層が成長を邪魔する

薄い所の根元を指でかき分けると、1cm近い茶色いサッチ層が出てきて、肥料や水が表面で止まっていた理由が腑に落ちることがあります。
サッチは分解されない枯れ葉や刈りカスが重なった層で、厚くなるほど新芽の伸びを妨げ、水や肥料の浸透も鈍らせます。
芝を張って2〜3年たつと排水性が落ち、表面の凹凸や水たまり、コケが出やすくなるのは、この層の蓄積と土台の劣化が重なりやすいからです。

根元と踏み心地で自己診断

診断の軸は難しくありません。
踏み心地が固いかスポンジ状か、根元のサッチがどれだけ厚いか、水たまりが残るか、この3点を見れば、土台側の異常はかなり絞れます。
特に、薄い筋だけが沈み込まず、雨のあとに同じ場所へ水が残るなら、上の刈り込みや施肥だけでは戻りにくい段階です。
そうした場合はエアレーションやサッチングで空気と水の通り道を作り直す必要があるでしょう。

密度を戻す対策|芝刈り・施肥・更新作業

芝刈りの見直しだけで、密度が戻る芝生は少なくありません。
生育期に週1〜2回へ頻度を上げ、全体の1/3だけを刈る運用にすると、葉先を切り過ぎずに横への分げつが促され、薄い部分が詰まりやすくなります。
刈り込みは単なる整形ではなく、株を若返らせる更新作業だと捉えると筋が通るでしょう。

まず芝刈りで横へ広げる

薄さを見つけたら、最初に手を付けるのは芝刈りです。
伸びた葉を一度に短くし過ぎると光合成面積が落ち、回復に回る力まで削ってしまいます。
逆に、生育期に週1〜2回の小刻みな刈り込みへ切り替えれば、株が横へ張り出しやすくなり、条件が合えばそれだけで密度の低下が目立たなくなることもあります。
芝は刈られて終わりではなく、刈られた分だけ次の芽を出す植物だと考えると分かりやすいです。

施肥は窒素量と時期で管理

色が薄く、伸びも鈍いなら施肥で支えます。
高麗芝は年間で窒素20〜30g/㎡を目標にし、1回あたり窒素1〜2g/㎡を月1〜2回、生育期に均一散布する組み立てが扱いやすいです。
TM9は省管理品種で年間窒素7g/㎡程度が標準目安になるため、刈り回数や日照を見ながら抑えめに組むほうがまとまりやすくなります。
施肥のやりすぎで葉が柔らかくなり、病気が出かけた経験があるが、窒素g/㎡で量を決めるようにしてからは、密度も色も安定した。
量を感覚で追わず、数字でそろえるだけで管理はずっと楽になります。

施肥は回数よりも中身です。窒素量が見えると、伸ばしたいのか、締めたいのかがはっきりします。

サッチング・エアレーション・目土

芝刈りと施肥で戻り切らないときは、地際の環境を整えます。
サッチが厚いならレーキ等で取り除き、土が締まっているならエアレーションで穴をあけて通気と透水を回復させます。
適期は春と秋の年2回です。
ゴールデンウィークに穴をあけて目土を擦り込んだときは、夏に向けて薄かった所が目に見えて詰まってきました。
薄い箇所には4〜5月に薄く目土を入れると地表が整い、芽が出やすくなります。
サッチングやエアレーションの後に目土を合わせる順序にすると、更新の手応えが出やすいです。

回復しない重症は部分張り替えへ|判断ラインと時期

芝刈り頻度を上げ、施肥し、エアレーションと目土まで一通り回しても戻らず、地面が広く露出したまま雑草に占領された区画は、更新だけでは押し返せない重症です。
そうした場所は、無理に同じ手当てを続けるより、部分張り替えへ切り替えたほうが早く整います。
軽症の薄さなら更新作業のほうが安く済みますが、回復しない区画を抱えたまま引っ張ると、手間も費用も雪だるま式にふくらみます。

更新で戻らない=重症のライン

見極めの軸はシンプルで、更新作業を重ねても密度が戻らず、土面の露出が広いまま、しかも雑草が居座っているかどうかです。
芝は刈り込みと施肥だけでなく、土をほぐして根を伸ばせる状態に戻してこそ密度が上がりますから、それでも反応しない区画は、根が生きる条件そのものが崩れていると見たほうがよいでしょう。
日陰でどう手を尽くしても戻らなかった一角を、耐陰性のある芝に部分張り替えしたところ定着したことがあり、原因が管理不足ではなく環境側にあるなら、張り替えが正解になるのだと実感しました。

部分張り替えの手順と適期

部分張り替えは、薄い区画の弱った芝を剥がし、整地して新しい切り芝を張る作業です。
更新作業や施肥で回復せず地面が広く露出する箇所なら、このやり方が現実的になります。
適期は芝が活発に根付く春の3〜5月で、作業そのものは地温15℃前後の2〜4月から始めると根の動きに合わせやすい。
全面が薄いなら更新で広く立て直すほうが費用対効果は高く、一部だけが落ち込んでいるなら、その区画だけを切り出して直すほうが失敗が少なくなります。

雑草の悪循環を断つ

薄い部分を放置すると、空いた地面に雑草が入り込み、芝の光と養分まで奪って、さらに密度が落ちる悪循環になります。
実際、薄いまま一夏置いた区画がメヒシバに占領され、結局は除草と張り替えの二度手間になりました。
空き地はすぐに埋めるのが鉄則です。
除草で競合を減らすか、早めに張り替えて新しい芝で面をつなぐか、どちらかを先に動かしましょう。
放置しないことが、いちばんの近道です。

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芝ぐらし編集部

芝ぐらしの編集チームです。芝生の品種選びから手入れ、トラブル解決まで、美しい芝生づくりに役立つ情報をお届けします。

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